200426

3カ月ぐらいデートをしていない。今週末も彼の家でゴロゴロして過ごした。

遅めの起床。今日はいちだんと晴れている。窓を開け、気持ちの良い風とあったかい光を迎え入れた。洗濯機のスイッチを押し、顔を洗い、昨晩の残りを温め直した。

朝昼兼用のご飯は、餃子と卵かけご飯とお味噌汁。冷蔵庫の中で餃子にいったい何があったのか。昨晩の元気なパリパリジューシー餃子はまるで別ものだった。まあこれはこれで美味しいからいいやと一人頭の中で無駄なことを考えていた。彼も黙って食べていたが、頭の中では同じ話をしていたかもしれない。ゆっくりと食べ終え、お茶碗を洗った。その間、とうに食べ終えていた彼は携帯を横に向けて両手の親指をピコピコさせていた。彼をまたいでキッチンに行く時にチラッと見るとサッカーのゲームをしていた。わたしがお茶碗を洗い終え化粧をしている間に、試合に勝ったのか負けたのか、それとも中断したのか、洗濯物を干していた。干されている洗濯物はすがすがしい顔をして風にのって踊っていた。勝ったのか?関係ないか。干し終えた彼はベッドに横たわり、また同じゲームをしていた。やはり中断していたのか?新しい試合か?化粧が終わり彼の隣に同じように横たわり、携帯でNETFLIXを見ることにした。彼は私の仕上がった顔を見て少し微笑んだ。私のすっぴんをどう思っていたんだ。今さら思っても仕方がないので、人志松本のすべらない話のエピソードをてきとうに選び、再生した。しばらく見ていたが、横から聞こえる寝息と春の陽気と風のせいで、いつの間にか眠りについていた。

彼にゆすり起こされ、散歩に行こと言われた。気づくと2時半だった。外は相変わらず晴れていて、嬉しくなり、行こ!とつい大きな声が出た。こんな日でもマスクを付けないといけなかった。人が多いところを避けて歩いた。商店街や車が通る道の2本ぐらい離れた細い道。コロナ無くなったらここ行こなとか、えここなんの店?とか、あのシャボン玉でっかとか、うわめっちゃ虫いるわとか、そんなてきとうな話をしながら歩いた。ちょっと先の方歩いたりゆっくり歩いたり手をつないで歩いたり。最後に、一番近所のパン屋さんに寄った。先週、現金しかあかんと言われて逃したタルトを2個買った。

家に帰り、手洗いうがいをして、コーヒーを2杯淹れた。もう夜ご飯を作る時間だったが、疲れと空腹と誘惑に負けて、相談した結果、タルトを食べることに意見が一致した。彼に(マンゴーかと思った)黄桃のタルトとミルク砂糖入りのコーヒーを。わたしは苺のタルトとコーヒー。映画館で上映していたときから見たかった、wonder君は太陽という映画を見ながら食べた。最初はゲームをしながら見ていた彼も、主人公の少年の成長に見入っていた。わたしがトイレに行くタイミングで一時停止し、それを区切りにして夜ご飯を作ることにした。彼が肉じゃがを作ってくれた。その肉じゃがと白ご飯とハンバーグを温めて食べた。このハンバーグは、わたしの祖母が2週間ほど前に冷凍していつでも食べれるからと持たせてくれてたものだ。レモンチューハイを2つのグラスに注ぎ、映画を再生し、手を合わせた。彼はしきりに主人公の少年の姉が美人だと呟いていた。その通りだったので流していたが、何回も呟いていたし、わざと聞こえるように言っていたので、あれは喧嘩を売られていたのかもしれない。一度だけ顔を覗いてそうよなぁ?わかるで?とわたしが言ったとき、彼は言ってやったみたいな顔をしていたのでほぼ確信犯だと思う。

ヒューマンドラマ系の映画に弱い。今まで関わったことがないようなタイプの人やモノ、事に対して最初一線を引いてしまうが、よく見てみると自分がもっていない魅力や新しい発見に出会えることがある。誰にでも何にでも大小関係なしに二面性があることは確かで、だからこそ争いも起こるけど、悪い所ばかり見ていてはつまらないなと思った。つまり、この映画に感動したし、みんなに勧めて回りたい。2缶目のみかんチューハイを開けながら余韻に浸っていた。彼は5分ほどの余韻に浸る時間を与えてくれた後に、本日2本目の映画を再生した。天使がくれた時間という映画で、クリスマスも役員を集めて仕事をしようとするバリバリのニューヨークで働くサラリーマンが、イブの夜に学生の頃に仕事を選び別れた恋人の夢を見た。もしその恋を選んでいたら今頃どんな生活を送っていたかという夢だった。ロマンチックな映画だった。こんなにリアルじゃないけど、誰もが、もしあの時違う選択をしていたらというのはふとした時に考えることだと思う。目が覚めた主人公の男の人がどんな行動をとったのか、この映画で一番ロマンチックだったのでこれも勧めて回りたい映画だ。

今週も先週と同じような過ごし方をしたし、コロナのせいと節約しているせいでしばらくデートもできてないが、来週末を楽しみに家路についた。みかんチューハイは果汁1パーセントのわざとらしい作られた味がしたけど、また飲みたくなるような妙な癖があった。音楽を聴こうと曲を探していると「気をつけて帰りや」というLINEがちょうど来た。コンビニと外灯と携帯の画面だけが明るくて眩しかった。