200612

家を出て、マンションと田んぼの間の道を歩いていてバス停に向かっていた。カエルが汚い声でグェグェ、ゲコゲコと競い合っている。互いのナワバリを取り合ったりでもしてるのだろうか。狭いT字路の交差点を左に曲がると両側を田んぼに挟まれた道になる。曲がるとき、中学生の2人組の男の子たちが下校中なのか、右側から歩いてきていた。それぞれの傘でコンクリートの地面をつつく音が、私の少し後ろでカツンカツンと交互に続いてきた。カツンカツンにかぶさるように、声変りをした男子中学生の会話が聞こえた。「なあ、女子の下着スケスケなん知ってる?今度後ろになった時見てみぃ」「え、知ってんで!」「美術の時〇〇(多分同じクラスの男の子の名前)めっちゃ見てたで」「きっしょ!」母校の制服を着た中学生男子2人が下校中にする会話というものは、こういうものなのか。微笑ましく聞かせてもらったが、近所に住む小6従弟と中2従妹からは聞きたくない会話である。あんなに目も鼻も口も手も足も小さくて可愛かったあの子たちも、どんどん成長していくのか、、と複雑な気持ちになった。そういえば、あの中学生男子2人、私が少し前を歩いていたというのに、"下校中の会話"を止めなかったのは、彼らにとって私がただの近所の知らないおばさんだったからなのだろう。

今日はやっとフィルムカメラを現像しに行った。どんな写真を撮ったのか、現像する頃には全く忘れている。28枚中、1枚は鞄の中をフラッシュ付きで撮っていた。3つの季節に渡っていたことに驚いた。冬は、博多駅のホームにあったはかたラーメンや、散歩中店前ののぼりにつられて食べたロイヤルホストの苺パフェ、唯一見れた積雪、パナップブドウ味のツリ目気味なスマイルマーク。天気の悪い日に近所の川沿いで撮った桜。先週撮った真顔仁王立ちのポージングを頑なに崩さない彼氏の写真。

京都市内でも寒いと言われる地元で、この前の冬、私は1度しか雪景色を見ていない。しんしんと大粒の雪が降りだすと、田舎の景色がより一層静かになったように感じる。空も真っ白になり、家の屋根も塀も秋に収穫を終えた田んぼの上や畑の上も全て新雪に覆われる。冬の朝、ようやく雪が降り積もっていたので嬉しくなり、部屋からフィルムカメラを持ってきてじいちゃんとばあちゃんの寝室の窓から1枚撮ったのを思い出した。一番見渡しの良い景色が見える窓から。すぐ下の荒れ地もいちめんを雪が覆っている。私の小さい頃に田んぼだったこの荒れ地は、整えられて近々家が建つらしいので、この部屋の景色も今年で見納めだ。f:id:hrmyk:20200613160801j:image